革について
製品に使用している革についてのご紹介とハンドメイド製品における特性のご案内です。
新品の状態を長く保つ高級ブランドの革も、使い込むごとに色が濃くなり柔らかく変わる革も、どちらも初めは同じ生きた動物の皮膚でした。そこから、各ブランドのコンセプトや用途により適切な加工が施されます。皆様もフォーマルとカジュアルで衣服も小物も使い分けているシーンがあるかと思います。
Asterは、多種ある革の中の「タンニンなめし革」を使用します。滑る(ぬめる)が語源と言われるヌメ革はハンドメイドらしさを残すことができますし、大量生産品にはない味わいもあると考えています。実際にレザークラフト作家の多くがヌメ革を使用しているのではないかと思われます。この革の魅力は年数と共に色合いが濃くなったり、柔らかくなったりというように変化していくことです。爪でふいに引っ掻いてしまったり、慌てて落とすとすぐに傷がつきます。生命としての活動はもうしていませんので、傷が癒えることはありません。しかし、傷跡が周りの色とは違う風味を出したりもします。衣服や鞄の中でこすれることで磨かれて新品よりも輝いていきます。ご自身が歩んできた歴史の分だけ傷がついたり、磨かれたりする変化を楽しめるが大きな魅力だと感じています。
オーナーの私は20代の頃、大学に通うためにオーストラリアのメルボルンという街に4年ほど住んでおりました。イギリスの文化が少し漂う街角の小さなお店には、オリジナルのレザー商品が多く飾られていました。その後も縁あって、オーストラリアと日本を結ぶ仕事を10年近く経験しました。私にとって、オーストラリアは第二の故郷であり、この地で生まれた革をメインで使っている理由です。
ヨーロッパもバックパッカーなどで通算1年は滞在しました。革の一大産地であるイタリア・トスカーナ地方の伝統的なタンナーが仕上げたヌメ革や、我が日本が誇る高品質の素材で製品をお作りします。
使用するヌメ革
オーストラリア産ヌメ革
オーストラリアの国花ワトル、別名ミモザ、の渋み成分で作る植物タンニンなめし革。ヌメ革らしい経年変化が特徴です。
トスカーナ産ヌメ革
1967年創業の老舗タンナー「La Perla Azzurra」の牛革を贅沢に使用。フィレンツェとピサの中間にあるサンタ・クローチェ・スッラルノにある工場で鞣した革は傷すらも味わいに変わります。
日本産ヌメ革
姫路や栃木レザーといったブランドは世界トップレベルのクオリティの革を世に送り出しています。日本の職人が鞣した革は品質が安定しています。
革の最高峰 コードバン(Cordovan)
馬のお尻の部分にあたる革で、最高品質と言われています。大変高価になりますが、その価値はあります。
ロロマレザー
日本産ヌメ革の一つ。その中でもなめす工程に数ヶ月をかけるため使うごとにツルツルになるため、栃木レザーよりも高価な品。入手しやすく、当店でも稀に仕入れて製品に使います。